1950年代、ゲイの息子に「堂々としていろ」と言った父親の話

人に迷惑を掛けないのだし、好きな事は好きと言えば良いのさ。ゲイの人に限らず、何かに悩んでる人にはグッとくる動画だと思います。
アメリカのNPO「StoryCorps(お話し聞こう隊)」が集めた実話の一つ、とある酪農家の父と息子のエピソードです。

これは、全校集会でパトリックがパフォーマンスをする日の出来事。
彼は長兄の運転する車で学校へ向かっていました。車内でいそいそとラメを顔に塗り準備を始めたパトリックを見てお兄さんはビックリします。そして「俺だったら死んでもやだね」と言いつつ学校でパトリックを下ろしました。

お兄さんは心配して、父親に相談。「父さん、ちょっと見に行った方が良い。マズイことになりそうだ」
そこでお父さんはパトリックの高校へ出かけます。作業着に長靴といった出で立ちで、牛のフンを付けたまま。それを見たパトリックは逃げ出します。ゲイっぽい自分の姿ではなく、「いかにも田舎の農家」っぽい父親の姿が恥ずかしかったのです。

その後、全校集会は問題なく終了し、迎えに来ている父親の車に乗って家に帰るパトリック。
「今朝学校の廊下で、お前によく似た生徒を見かけたよ。父親から隠れて逃げ回ってる子だった」と話しかけられます。
「でもあれはお前じゃないな。なぜならお前は父親にそんな真似はしないはずだから」と言われ、思わずシートでモジモジしてしまうパトリックでしたが、我慢できず「だって父さん、牛のフン付けて集会に来るなんて!」と言い返します。
父親はパトリックを諭しました。「俺が酪農家だってのは皆知ってる。これが俺だよ」そして彼の目を真っ直ぐ見て尋ねます。「お前はどうだ? 大人の男になった時、お前がデートする相手は誰だろう?」
「分かんないよ」と答えるパトリック。「分かってるはずだ。そして相手は、お前にお熱なマクラフリンの娘じゃぁないさ。お前は彼女からの電話にすら出ないんだから。」
「この機会に言っておこう。今は無理かもしれないが、大人になった時に分かる……コソコソ隠れるんじゃない。今日みたいに隠れているというのは、悪いことをしていると自分で思っているということだ。悪いことをしていると思いながら人生を過ごし続けるのは、魂の破滅だよ」

1959年という古い時代にもかかわらず、父親がゲイの息子に「堂々としていろ、隠れるな」と言ったのです。
当時のパトリックは素直に受け止められず、男らしさをみせようと20キロはある干し草の塊を1メートルも投げ上げて「僕はおかまなんかじゃない! 父さんは一体なんの話をしてるんだよ?」と考えていたそうです。
でもパトリックの父親は、彼が将来どうなるかよく分かっていたんですね。そして、それを「悪い事だ」と考えさせるのは誤りだとも分かっていた。
「彼はおかまの父の守護聖人さ」とパトリックは語ります。「昔は分からなかったけど、今は分かる」

パトリックの父、チャールズ・エドワード・ハガティは1901年に生まれ、1961年に亡くなりました。
このお話は、StoryCorpsでパトリックが娘のロビンに向けて語ったお話を、アニメーション化したものです。

海外の反応


◆この語り手からのコメントがYoutubeにあったよ。
「あの当時にこんな父を持った事は、計り知れない幸運だったと思う。進んでいたというだけじゃなく、この先どんな時代でも最高の父親だろうね。実は彼には10人の子供がいたんだ。私だけじゃなく、兄弟全員が父のエピソードを一つや二つは持ってるよ。そして父と私のゲイ関係のお話は他にもあるんだ。この話が一番印象的なだけで、最初じゃない。どの思い出も素晴らしい、ユーモアと真実と愛がある話なんだ。彼は決して私の事を貶すことは無かった。一度たりとも。彼がいなくてとても寂しいよ。55年も前に亡くなってしまったけど、いまだに毎日心の中で語り掛けるんだ」

↑クソ―、また涙が出てきてしまうじゃないか。

↑すごく素敵な話。私も父さんのことを考えてしまう。


◆カミングアウトについて、もっとこういうポジティブな話が聞きたい。

↑トランスジェンダーだって両親に告白した時に、父親に「そりゃ残念だ。そしたらお前、これから給料が七割になるぞ」って言われたよ。母さんは「父さん、感心しないわ」って感じだったけど、そうやってすぐにジョークを言ってくれたことで心にゆとりができたよ。


◆StoryCorpsはチャンネル名を「ブチ泣かすぞ貴様ら」に変えるべき。

◆自分に忠実に、他人に正直にあれ。

◆ううっ、こんなのゲイには激しく泣けちゃう。そして2年後にはお父さんが亡くなったと知ってさらに泣ける。

↑ゲイじゃない俺でも泣くって。


◆なんて素晴らしい、理解のある父親だろう。あの当時でってのがさらに凄い。

◆すごく良いお話。最後の方、これは1959年に言われた言葉だけど、そのすぐ後の1961年にはチャールズがこの世を去ったというのがとても悲しい。メッセージを十分理解するにはきっと時間が掛かっただろう。理解と感謝できる頃には、もうお父さんは存命でなかったんじゃないかな。チャールズ自身には届かなかったかもしれないけど、こうしてインターネット上で伝えられることは素晴らしいよね。

↑彼の言葉は息子の中で永遠に残るよ。思い出の中でお父さんが生き続けるように、この助言が今日の彼を形作っているはず。


◆時代の進んだ受け取り方な上に、もっと年上のような思慮深い助言だ。

◆本気で涙が零れそうになった。こういう親こそ皆お手本にすべき。

◆以前にこの動画を見たことが切っ掛けで、数か月前に家族にバイだって打ち明けたよ。

↑凄いね! 良い結果だったことを願ってるよ。

↑ありがとう、良い結果だったよ(笑)。優しい家族なんだ。この話のお父さんみたいに最高!


◆数年後に亡くなってしまったのか……心が痛むよ。
家に帰ったら、息子たちを抱きしめて、父さんに電話しよう。

◆この「コソコソ隠れるな」ってのはずっと忘れられない言葉になりそう。俺はゲイじゃないけど、色んな事に対して言える言葉だから。「自分を恥じず堂々と」……これから俺もそうしようと思う。